第31章 reaction
どうして…
なんで……
ガクガクと小鹿のように震える足。
そしてズクズクと痛みを帯びている
頬と背中と膝の傷。
先程触られた下半身の気持ち悪さ。
そんな自分の体の異変が
妙にリアルに感じ、声すら出せなくなっていた。
「っつ!!!」
男が再度ナイフを切りつけながら馬乗りになってきた。
そして制服を引き裂かれる。
「っや!!!」
〜♪
メールの着メロがした。
万次郎からの返信かもしれない。
助けを求めたい。
でも、手も動かせない…っ
〜♪
今度は電話の着メロが流れ出した。
しかし当然、出られるわけが無い。
ブラの上に手を這わされる。
ギュッと目を瞑ったその時…
ガガガッ!!
ドガッ!!!
自分の上から男の体重は消えていた。
そして目の前では、
男を蹴りあげ殴り飛ばしている三ツ谷がいた。
「テメェこのやろ!!
っ!待て!!!」
男は無言のままバタバタと逃げていった。
追うか一瞬迷った三ツ谷だったが、
ランを放ってはおけないと、男を逃がし、ランのそばにいることを選んだ。
「ラン!!大丈夫か?!」
「た…かし…」
「ランっ!」
三ツ谷は自分の制服の上着をランに被せ、ギュッと抱き締めた。
「ど…して…」
「…今日もラン来るかなって思って待ってたんだけど、今日部活早く終わってさ、ランんち寄ろうと思ったんだ。一日でもお前の顔見れねーと、やっぱ俺…」
そこまで言って、三ツ谷は口を閉ざした。
道の途中でランに電話をかけた時、着信音が聞こえてきたから駆け付けたのだった。
そして、1番見たくない現場を目撃してしまった。
まさかと思ったが、やっぱりランだった。