第31章 reaction
そのまま力任せに殴りかかろうと
胸ぐらを掴んだ。
シャツを引き裂かれてブラジャーが見えていても
スカートが切れていても関係ない。
普通は逃げるところかもしれないけど、
私は逃げないんだから!!
女だからって舐めるなよ!!
私はそこらへんの女じゃねぇんだよ!!!
ハァハァと息を切らしながら
思い切り殴ろうとした瞬間…
シュパッと光るものが見えた。
そう思った時には
腕を掠めていた。
「った…!」
それがナイフだとわかり、
ランは急いで避けて後ずさる。
「っあ……っ…」
動揺したのか
尻もちを着いてしまった。
急いで立とうとするが、
また全身の震えが始まり、立てなかった。
どうして…
なんで立てないの…
なんで震えてんの私…
なんで……?
こんなのへっちゃらなはずでしょ?!
体中を触られたときの感触が
目の前の人物から一気に蘇ってきてしまった。
こんなに絶望感と無力感を感じたことは未だかつて無かった。