第31章 reaction
万次郎は家に着いてから
ドカンとソファーに横たわり、腕で目を覆った。
「はぁ…」
誰も俺の気持ちなんてわかんねぇ。
でも
ちょっと意地張っちゃったかな…
"万次郎が一人でいるから寂しいかな〜って!"
そうだよ。
俺はいつだって寂しい。
俺は…
ずっとずっと昔っから
お前のこと、俺だけの女だと思ってたんだ。
だからやっぱり、
三ツ谷とのこと後押ししておきながら俺は…
ホントは……
「どこにも行ってほしくなかった。
誰のもんにもならないでほしかった。」
つぶやくように言って瞳を閉じる。
瞼の裏側で、
あいつらが笑い合っている顔が浮かんで
どうしようもない苛立ちと虚無感が襲う。
本当は言いたかった。
俺を
捨てていくなって。
〜♪
メールの着信音がし、
ゆっくりと携帯を開いた。
「?…はっ…ははっ…」
"まんじろのばーか!
明日組手勝負しろよ!!
てかなんかあったらアンタのせいだからね!"
「んだよ、これ。なんもねーだろ」
"知らねーよバーカ"
「送信。…ふん。不貞寝してやる」
ボスっとうつ伏せになりクッションに顔を押し付けた。
ゆっくり目を閉じて、行き場のない感情を長い息と共に放出する。
たちまち眠気が襲ってきてしまい、寄っていた眉間のシワが消えていった。
この日のことを、
俺は一生忘れない。
俺は一生
俺を許せなくなった。