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progress ~東リべ卍~R18~

第30章 reach



"それで気がつくとね、自分も闇に紛れて黒く染ってて…
もうなんだっていいやってなってるの。
誰かに助けを求める気力も湧かなくて…。
"泳げたい焼きくん" みたいに、たった1人でも気持ちよく泳げたらいいのにね。"


"……俺も、似たような夢を見ることがある。
俺の場合は、黒い闇にただひたすら飲み込まれていくんだ。下へ、下へと…
手を伸ばそうとも、上を見上げようとも思わない。
誰も自分を救えないって心のどこかで思ってるんだ。"



"私が助けるよ、万次郎。
その暗闇から、私が万次郎の手を引っ張って、
必ず上に引き戻すよ。
何度も…。何度でも…。"



"…でも怖いんだ。
そのまま俺が…そうやって伸ばされた誰かの手を…
引きづりこんじゃう気がして…"



"私なら大丈夫。
それに…万次郎が落ちてくなら、
私も一緒にそこに落ちてく…
でもそんなことには絶対させない。
万次郎のことは、私がいつだって引っ張り上げるから"



"簡単に言うなよ"



"簡単になんか言ってない。
約束したじゃん。"



挫けそうな時、俺が俺でなくなりそうな時…
俺を叱ってくれ、ラン…
兄貴のように…。

そう、
言ってたよね。
忘れてないよ。
それに私にだって万次郎は必要で。



"私の黒い衝動だって、
万次郎がいるから抑えられてるの。
だから、お互い様だよ?"



"俺、ランがいなきゃ、生きていけねぇから
だから…誰かのもんになっても、
俺の傍から離れないで。…頼む。"



あの時抱き締められた温もりが
あなたを抱きしめた温もりが
今でもハッキリと私に焼き付いている。



"…うん、わかってる。
私の傍からも離れないでね。"



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