第29章 rapture
「説明してください、月乃ランさん。
あなたにはその義務がある。」
ナオトが銃を下ろしてそう言うと、
ランも銃を下ろして万次郎の遺体を見つめながら口を開いた。
「ごめんね、タケミチ…
私は…タケミチとの約束守れなかった。
みんなが幸せな未来にするって約束…」
「ランさん…
ど、どうなっちゃってるんですか、一体!
だってランさんは三ツ谷くんと…っ
なのに三ツ谷くんだけじゃなくて皆…皆…」
「東マンが変わっていって、タケミチが辞めるより先に、私が東マンを辞めちゃったの。だからその頃から、もう隆とも別れてる」
「え…」
「私は……」
ランの色のない目から静かに涙がこぼれ落ちた。
「私は……誰よりも先に、
東マンを見捨てた。」
耳を疑った。
何かの冗談だと言ってくれた方が現実味があるほどに、その言葉は衝撃だった。