第6章 recall
「私はいつでもそばにいるよ?
だから、万次郎も私のそばにいて?」
コクッとゆっくり頷いて、
万次郎は私の首に顔を押し付けてきた。
生暖かい水滴が、卍の墨に落ちていくのがわかった。
「ランは…っ…ぜってぇいなくなんないでくれ…」
「いなくなんないよ…絶対。
ずっと一緒にいる。」
「くっ…っ…ぅ…っ」
声にならない声を漏らして
たくさんの水滴が私の肩を濡らしていった。
「俺も…何があってもランの傍から離れねぇ…」
その瞬間、私の中から、堪えていた涙が堰を切ったように流れ出した。
「私もっ…何があっても万次郎の味方だからっ…
ずっと…いなくなんないから…っ…
だから私の前ではさ、ありのままの万次郎でいて…
お願いだから、溜め込まないで、
心の内を吐き出して…なんでもいいの…」
「……じゃあ、ランもだよ。
俺には全部吐き出すんだ。
で、俺らはずっと一緒にいる。」
お互いがお互いの心の拠り所となる。
その上で、
"ずっと一緒にいる。"
初めて、2人で交した口約束。