第28章 recollect*
え…やだ…
何泣いてんだろう私…!
隆のお母さんすごく心配そうな目で見てるじゃん!
「ごめんなさっ…私っ…お母さんいないからっ…
なんかそのっ…う、嬉しくて…」
涙を拭うように両手で目を覆うと、突然パッと抱き包まれた感覚がした。
え……
「ランちゃん…あなたもずっと甘えたかったのね…。」
我慢しないでいいよ。
甘えていいんだよ。
そんなふうに言ってくれているような気がした。
きっと、何よりもずっと欲しかった言葉。
その温かいぬくもりに包まれて、ランは堰を切ったように三ツ谷の母親の胸で号泣してしまった。
その間も、ずっと背中を撫でてくれている。
そう…隆だけじゃない。
本当は私もお母さんに甘えたかった…。
我慢してきた…
今までずっとずっと長いこと…。
強くなることだけを追い求めて。
甘えることなんてしてこなかった。
「お母さん…っ…」
「ランちゃん。あんまり強がっちゃダメだからね。女だからとかまだ子供だからとかいう意味ではないの。大人になっても、誰かに甘えることは大切よ。じゃないと自分を見失う、壊れてしまう。
忘れないでね。」
その言葉は、大きく心に響いた気がした。