第28章 recollect*
「うん!ランちゃんのケーキ美味しい!料理は明日頂くわね!」
三ツ谷の母親の笑顔に癒された。
とにかく無事にクリスマス終えれたんだから、本当によかったし、ごちゃごちゃ考えるのやめよう!
だけど・・・
「…あの…隆のこと…あんなに傷だらけにしちゃって…守れなくてごめんなさい…」
「え?…フフっ。女の子に守られてるような男の子なんてダメダメよ。」
「そんなことないです…。女だからとか男だからとか…関係ないんです。」
眉を下げて心底項垂れるように落ち込んでいるランに、三ツ谷の母親は一瞬目を丸くしたかと思えば、にっこり笑った。
「ランちゃんに好きになってもらえたあの子は幸せね。私はね、隆には今までずっと、すごく苦労をかけてきちゃったから…これからは幸せになってほしいのよ。心の底から…。」
その笑みはとても切ないものに映った。
静かな響きが部屋に木霊する。
「今までのぶんまでたくさん甘やかせてあげたいけれど…あの子も私も生活が入れ違いだから…だからランちゃんがいてくれてよかったわ。あなたになら隆のこと…任せられそうだもの。」
思わずココアのカップを持つ手に力が入ってしまった。
"ランちゃん…隆と同じ目をしてる"
"昔から、誰かに甘えたことがない目よ"
いつしかそう言われたことを思い出した。
そうだよね…
隆はきっと、お母さんに甘えたくて甘えたくてしょうがなかったはず。
たくさん辛い思い、してきたんだ。
だったらやっぱり
私がいっぱい甘やかして、いっぱい支えてあげなくちゃ。