第28章 recollect*
一方その頃…
ランと三ツ谷は再度家に戻っていた。
ルナとマナはぐっすり眠っていて、
三ツ谷の母親も帰ってきていた。
「っな?!隆!あんたそんなボロボロで一体今まで何してたの!!」
たちまち顔面蒼白になって駆け寄ってくる母親に、2人とも気まずさを隠せない。
「はぁっ…隆っ…!」
あまりに痛々しい姿にいたたまれなくなった母親は突然ギュッと三ツ谷を抱き締めた。
その光景に、ランの頭の中で、
礼拝堂で言っていた三ツ谷の言葉を思い出した。
"1度何もかも嫌になって、妹2人残して家出してさ…次の朝帰ったら母ちゃんに思いっきりぶん殴られた"
"その後母ちゃん、俺の事抱きしめて、いつもごめんねって泣いてた…"
"みんな弱ぇ。だから家族が、仲間が、いる"
「っ!おいやめろよ!ランが見てんだろ!
俺は平気だ!」
バッと離された母親の瞳は潤んでいた。
「ランちゃんまで巻き込んで!
大丈夫なの?!ランちゃん顔色がよくな」
「私は全然大丈夫なんです!
それより、隆が重症なのっ!」
「えぇ、見るからにそうね…
全く…しょっちゅうこんなになるなんて、たいした暴走族ごっこね」
怒ったようにそう言いつつも、本気で心配しているのが分かった。
すぐに救急箱を取り出し、
丁寧に三ツ谷の治療をしていく母親を見て、ランは微笑ましくも、心底羨ましく思った。