第28章 recollect*
「……俺は弱いよ…」
「…え?」
「お前は強い。タケミっち。」
万次郎がうっすら微笑んで
階段の上からタケミチを見下ろした。
どこか、この世のものとは思えないような、
不思議な雰囲気を醸し出しているように見える。
「本当に大切なことは、喧嘩に勝つことじゃねえ。
自分に負けないことだ。」
タケミチの鼓動がドクンと波打つ。
美しい万次郎の金髪が風に揺れた。
「挫けそうな時、俺が俺でなくなりそうな時、
俺を叱ってくれ。タケミっち。」
万次郎の瞳が揺れ、
眉を下げて優しい微笑みに変わっていた。
「兄貴のように…。」
なぜだかその笑みが消え入りそうなくらい
弱々しく見えて、そして神々しくも見えて
タケミチの目に涙が溢れてきた。
「もちろんです!!」
そう強く言って真剣に見つめる。
俺はマイキーくんの未来も
絶対に守る。
そう心に決めた。