第6章 recall
その瞬間、場地は紛れもない現実なのだと実感し涙が溢れ出てきた。
「どうしたの圭介?!」
ラン…
「何があった?!」
マイキー…
「ごめんっ…ごめん…」
その後、警察の事情聴取では一虎が場地を庇い、一虎だけが少年院に行くことになった。
万次郎にとってもランにとっても、憧れであり父親代わりでもあった真一郎はこの世からいなくなった。
この日から、万次郎とラン、そして場地、一虎には決して忘れることの出来ない深い闇ができた。
自分のためにしてしまったことだと万次郎は表面上は許した。
けれど万次郎と場地の間には目に見えない溝ができたような気がした。
そしてこの日から誰も、一虎の話はしなくなり、会うこともなくなった。