第27章 reflex
「でもなぁ…
ダセェのはてめぇだけだなんて思うなよ?!
俺はもっとダサかった!!」
「…タケミっち……」
「…ホント…ダセェな八戒…」
そう言って笑い八戒によろよろと近づいたのは
三ツ谷だった。
「生まれた環境を憎むななんてカッコつけてあれだけどよ…俺も本当はすっげぇ憎んだ」
その言葉に、ランの鼓動が跳ねた。
そんな本音を三ツ谷から聞くのは初めてだった。
「1度何もかも嫌になって、妹2人残して家出してさ…次の朝帰ったら母ちゃんに思いっきりぶん殴られた。ダセェだろ?」
「…タカちゃん……」
「その後母ちゃん、俺の事抱きしめて、いつもごめんねって泣いてた…」
三ツ谷は八戒の元へしゃがみこみ、
真剣な顔でまっすぐ見つめた。
「八戒、逃げてんのはお前だけじゃねぇ。
みんな弱ぇ。だから家族が、仲間が、いる。」
「っ……」
タケミチが立ち上がり
声を張り上げた。
「そんな嘘で、お前を見捨てねぇ!!
それが東マンだ!!」
八戒の瞳から流れる大量の涙が止まり、
大きく揺れた。
ランもタケミチも千冬も柚葉も強く頷く。
ああああ!!!と雄叫びを上げて
八戒がバサッと特攻服を脱ぎ去った。
「…ありがとう…もう怖くねぇ。
二度と黒龍のトップクは着ねぇ!!」