第27章 reflex
三ツ谷の部屋の棚。
たくさんのデザインブックや参考書、スケッチブックがずらりと並べられている。
"ランに着せたいデザインならさ、昔っからいっくらでも思い浮かぶんだよな…"
"み、見たいよ!見せて!"
"ダーメ。いつかちゃあんと見せてやっから。"
そう言って戻されてしまったスケッチブック…
確か…これ……。
1冊を恐る恐る手に取ってみた。
タイトルにはなぜか、卍の記号と、
「dressline」と書かれていた。
「少しくらい、見てもいい?よね?」
どうしても、好奇心を抑えられなかった。
心臓がバクバクしている。
ヤバい…
なんでこんなに緊張してんだろ…
フーっと長い息を吐き、
意を決してゆっくりとそれを開いた。
「っ!!」
言葉を失ってしまった。
そこには、ふわりと大きなプリンセスラインのドレスに裾の長いベール。
そして結った髪は、精巧なティアラまで描かれていた。
ドレスは細かい刺繍も描かれていて、
素材や設定についてなども事細かにメモされている。
後ろ姿まで丁寧に描かれていて、
背中がザックリと開いているデザインだった。
色はルナマナが塗ったのか、
淡いピンクとレモン色が使われている。
「すごい……」
こんなに美しいお姫様が、
到底自分だなんて思えなかった。
でも…これをいつか、絶対着てみたい。
そう素直に思った。