第27章 reflex
「手ぇ離せよ柚葉。
俺の手が切れちまう。」
そう言って眉を下げ、笑っている三ツ谷に
柚葉の目から涙が溢れた。
「三ツ谷っ…なんでっ…ここにっ……」
カツンっ…とナイフの落ちる音が響いた。
柚葉がフラリと倒れそうになるところを、
三ツ谷が抱き支えた。
「タケミっち…柚葉を頼む。」
「あ…はいっ!」
大寿はその様子を険しい表情のまま
無言で見つめている。
「さて……俺が相手だ、クソヤロー」
「あ?本気かてめぇ?休戦協定はどうすんだ?
まさかてめぇで結んだ約束、
てめぇで破るクズヤローか?!」
「黙れ」
そう一言発し、三ツ谷は大寿に近付いた。
「そんな約束より当たり前のこと教えてやるよ」
三ツ谷の纏う空気が変わっていく。
おどろおどろしい怒りのオーラが滾っているのがその背から見えるように感じ、タケミチも八戒も息を飲んだ。
「妹にはどんなときも手をあげねぇ!
どんな悪さも笑って許してやる!
それが"兄貴"だバカヤロウ!!!」
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