第26章 reindeer
次の日、
一日中料理をしていたランは
できあがった佐野家用のケーキを冷蔵庫にしまい、
おかずの数々も佐野家用と三ツ谷の家に持っていく用に分けて出かける準備をした。
夜の7時。
今日も雪が降っていた。
ケーキを崩さないように
遅めのスピードでブラバを走らせて
三ツ谷の家に到着した。
三ツ谷に会った瞬間、なぜかとても驚いた顔をされた。
「?…あ、ごめん遅かったよね」
「いやいや早かったよ。そうじゃなくて…」
「??」
なぜかジィっと顔をのぞき込まれる。
「……化粧してんの?」
「あ」
そうだ。忘れてた。
昨日万次郎からもらったリップを塗って、
エマに昼間、無理やりビューラーにマスカラ、アイラインを塗られて…そのまま来ちゃったんだった。
「あぁ、うん。まぁたまには?みたいな…」
意味不明な誤魔化し方をして
ランは平静を装った。
「ふはっ。やっぱ似合わないよねー」
「いや…すっげぇ可愛い…」
「えっ、ホントに?」
うんうんと頷く三ツ谷に、
ランはようやく笑顔になった。
その笑顔が一際妖艶で美しく見え、
三ツ谷の鼓動が大きくなった。
やべぇ…
ちょっと化粧するだけでこれかぁ…
正直…すっげー可愛い。可愛すぎる。
つーか綺麗。
大人になって、ガッツリ化粧したら
もっともっとやべぇだろうな…
俺のモデルにしたいのに、
なんだろう…
なんか…
誰にも見せたくないような
妙な感じもする……