• テキストサイズ

progress ~東リべ卍~R18~

第26章 reindeer



「なぁ、着けてみろよそれ!」


「えっ」


「俺が1番最初に見たい!」


ランは戸惑いつつも、
万次郎の部屋に置いてある鏡を見ながら
おずおずと唇に滑らせた。


「っわ!本当だ…すごい…」


自分の唇が、徐々に綺麗な桜色に変化した。


「おお…似合う似合う!さすが俺のカラーチョイス!」


そう言いつつも、万次郎は内心
ドクドクと鼓動が暴れ始めていた。


唇の色、たった一つのその変化だけで
こんなにも色っぽく艶っぽい"女"になるなんて。


来年は、真っ赤な口紅かリップグロスでも贈ろうか。

そしたらランは絶対に、
もっともっとイイオンナになる。


「ありがとう万次郎!
ちょっと照れくさいけど、大切に使わせてもらうよ」


そう言って笑みを浮かべるランを見て
目を見開いた。


そういえばこいつ…

いつからこんな妖艶に笑うようになったんだろう。

いつからこんな大人びた女の表情
するようになったんだろう。

いつからこんな…

俺の知らなかったランに…


出会ったばかりのあのガキの頃と
比べ物にならないどころかまるで別人のような
色気を纏った美しい女の姿。


心のどこかで思ってた。

幼い頃からずっと一緒に過ごしてきたランのことを、1番知っているのは俺だけなんだって。


でも…違ったみたいだ。


灯台下暗し?


今更気がついた。

ランはずっとずっと
成長し続けてたんだ。

心も体も…。


知らなかったのは、
きっと俺だけだった。




/ 996ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp