第26章 reindeer
あ…
と顔を火照らせて顔を上げた瞬間、
今度は唇を塞がれた。
ずっと冬の外気に触れているせいか、
彼の唇は冷たくて
でもそれがとても気持ちよくて
ゆっくりと目を閉じた。
後頭部に回っていた手が
グッと引き寄せられ、
僅かに離れた唇が角度を変えて
また重なったのがわかった。
「ん……」
たまらず自分から舌を入れると
少し驚いたように三ツ谷の舌が動いた。
けれどすぐに絡まりあって
いつの間にかお互いの熱を分け与えるような
濃厚なキスで唇が温まっていた。
ソウヤ「うわ〜…あいつらやるなぁ…」
ナホヤ「みんないんのになぁ、ハハッ」
春千夜「あの余裕っぷりは流石ですね」
武藤「ありゃぜってぇ一線超えてんだろ」
万次郎「…あ、写メんなきゃ」
ドラケン「バカマイキー!やめろ!」
パシャパシャ!!
フラッシュの音に気付いた2人の顔が離れた。
気まずそうなドラケンの顔と、
ニタニタ笑っている万次郎たちと、
顔を上気させて目を泳がせている他の者たちが視界に入る。
「はぁ… ランが積極的すぎるから」
「な、なにそれ?先にしてきたのは隆の方じゃん」
そう言いつつも、2人は羞恥で顔を赤らめながらククッと笑った。
別にクリスマスじゃなくてもいい。
特別な日じゃなくても。
ただこんなふうに
幸せだと心から思える時間を過ごして
同じ未来を信じ合えたら。
これ以上のものは無いと思えた。