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progress ~東リべ卍~R18~

第26章 reindeer



「私の家はね、実はすごくお金持ちだったの。
お父さんは仕事で溜まったストレスを、暴力という形で私のお母さんで発散してた。
今思えばお母さんは、はじめはお金目的でお父さんと結婚したのかもって思う。
お父さんがしょっちゅう他の女と関係持ってるのなんてバレバレだったけど、文句一つ言わなかったし。
それがあったから、ある意味私は…何不自由なく育ったとも言える。
なんでも買って貰えたし、クリスマスプレゼントや誕生日プレゼントとかも、お金だったの。
だけど私が求めてたのはね…」


僅かに三ツ谷に体を寄せると、
三ツ谷が肩に回している手にも力が入った。

いつの間にか、ハラハラと雪が降ってきていた。



「私が求めてたのは…
物でもお金でもなくて…
この世にたったひとつしかない、
私に向けられる愛情だった。
なんでも与えられているのに、
何も持ってないって、あの頃の私は
自分のことを凄く貧乏で空虚な存在だと思ってたよ」


だからね…

そう言ってニッコリ笑った。


「強くなろうと思ったんだ。
強くなって、男なんか蹴散らして、自分でなんでも手に入れて、自分で自分を幸せにできると思った。
だけど違ったね。
誰かがこうして隣にいなくちゃ、幸せって感じれない。
たった1人で幸せを掴むことはできないんだよ。
それを教えてくれたのは、
東マンの皆であり、隆だった。」



「ラン…」


三ツ谷の手が優しく頭に置かれた。
その上に、白い雪が少しずつかかっていく。


「…今は幸せ?」


「うん!今はクリスマスも誕生日も、大好き。」


「俺も…」


その囁きとともに、額に唇が落とされた。
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