第25章 rat
目を見開いて固まったまま
見つめていると、
「もっともっといーっぱい色塗りしたんだけどね、お兄ちゃんが破いてほとんど持ってっちゃったのー!酷いよね!」
「せっかくいろんなラン姫あったのに〜!お兄ちゃんどこ隠しちゃったんだろー」
確かに言われてみれば、
たくさん破かれたページがある。
他にはどんな私を描いてたんだろう?
どんなドレスなんだろう?
気になりすぎる…!
前に見せてくれなかった、あのスケッチブックに挟まれているんだろうか?
私専用のデザイン画だと言っていて
いつか見せてやるよと言ってた…
あのスケッチブックに…
"ランに着せたいデザインならさ、
昔っからいっくらでも思い浮かぶんだよな…"
「……ルナちゃんもマナちゃんも、色塗りがとっても上手なんだねぇ〜!私なんかよりも!感心感心!」
そう言って笑顔を作りながら
次のページをめくろうとした時、
マナがパラパラと違うページを開いた。
「あのねぇ〜、お兄ちゃんにも聞いたんだけどね、アイシテルの人を」
「アイシテルの人…?」
「そしたらね、ランちゃんとおんなじこと言うの!いつか読めるようになるよってぇ!教えてくんないの!ほらこれ!」
そこには…
いつか自分が書いた
ILoveYouとTAKASHIという文字。
その下に書かれているのは…
アルファベットで書かれている
自分の名前だった。