第25章 rat
「そういえば私って、どんなの描いてたっけ。
そんなにピカソみたいな絵だったっけ。」
どうせなら描いたことのないものを描こうと思い、パラパラとお絵描き帳を遡った。
「はははっ…確かに私の絵ってなかなか面白いかも…
…んん??…わぁ…すごーい…!!」
あるページには、明らかに三ツ谷が描いたであろう精巧なお姫様のような絵が描かれていた。
ドレスや髪型など、とても細かくて
まるで動き出しそうなくらいにリアルで
言葉を失うほど美しかった。
「さすが隆だなぁ…
このドレス、めちゃくちゃ可愛い…」
そう呟いて目を細める。
女の子なら誰もが憧れるお姫様…
しかしランは、
シンデレラにも白雪姫にも眠り姫にも
憧れたことは1度もない。
強くて逞しい、ヒーローや戦士的なキャラクターのほうが、ランにとってはよっぽど憧れの対象だった。
「これね!ランちゃんなんだって!」
「え?!」
「そっくりだよね!!
色塗りはルナとマナがしたんだよ〜!!」
「えっ…」
これは……
私…?…なの…??
こんなに素敵で美しいお姫様が…?
本当に私…?
私はいつか…
ドレスを着たらこんなふうになるの?