第25章 rat
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ランの手術前日、タケミチと千冬が訪ねてきた。
2人にはずいぶん長いこと会っていなかった。
部屋に招き入れ、暖かいカフェオレを出すと、神妙な面持ちで2人とも1口だけ口をつけた。
「今のタケミチは、未来のタケミチの方だよね?」
「はい。そうです。なので…そのことでお話が…」
「うん、待ってたよ。どうだった?」
タケミチは、やはり今のこの状況のランには
事細かく本当のことは言えないと思った。
クリスマスまで稀咲と半間と組んでいることも、八戒や大寿のことも、言わないことに決めた。
言ってしまったら、絶対にランは行動を起こすからだ。
なので…言えることはただ一つ。
「ランさん…25日のクリスマスの日は
絶対にどこにも行かないでください」
「え?!」
タケミチの言葉に目を見開いて疑問符を浮かべる。
すると横から千冬が口を開いた。
「あまり良い未来じゃなかったらしいんです。
25日にはランさんの身にも危険が及ぶかもしれない…」
「え…?…どういうこと?」
「すみません。詳細は俺もまだよくわかんないんす。その日に何が起こるのか…だけど、とにかくランさんには…家から出ないでほしいんです」
真剣な表情で言うタケミチに眉を顰める。
「…そっか…。」
でも…隆んちでルナマナちゃんたちと過ごす約束があるんだけどな…。
どうしよう…。