第24章 revere*
どうしよう…
なんだか突然ものすごく怖くなってきた…
もしも手術しても…このまま隆のことや万次郎のことや、皆のことも…分かんなくなってっちゃったら……
「ラン」
ハッとなって横を向くと、
眉を吊り上げ真剣な表情をした三ツ谷の瞳がはっきりと映った。
「大丈夫だ。絶対に。」
考えていたことを全て察しているような
そんな力強い言葉だった。
「……うん。ありがとう。」
彼にたった一言そう言って貰えるだけで
心の底から勇気が湧いてきて笑顔になれた。
「頑張る。」
「おう。」
「頑張るから、キスして?」
「え」
思いもよらないその言葉に
三ツ谷は固まってしまった。
ふふ…と少し恥ずかしげに笑ったかと思えば目を閉じてしまったランの頬に、恐る恐る触れる。
滑らかな絹のような感触…
スル…とそのまま耳の方に手を滑らせ、ゆっくりと唇を重ねた。
1秒…2秒…3秒……
チュッと音を立てて離した瞬間、
ランの目が開いていてドキリとなる。
「そういうのじゃ…なくて…」
どこか潤いを帯びたランの瞳がゆらゆら揺れて光っている。
その中に、戸惑ったように目を見開いている自分が映っていて、三ツ谷は途端に恥ずかしくなった。