第24章 revere*
みるみるうちに鍋にはポトフの具材でいっぱいになり、あとは煮込むだけになった。
とてもいい匂いがする。
「隆が旦那さんだったら奥さんめちゃめちゃ幸せだろうね。料理もできて裁縫もできて子守りもできるなんてさ。」
パーフェクトすぎて
どこか怖いくらいだ。
「じゃー俺を旦那さんにしてみる?」
「えっ…」
目を見開いて横を見ると、目を細めたどこか艶っぽい真顔がこちらを見下ろしている。
「やだ?」
「え……い、いいの?」
「いいぜ。ランなら。」
「…っ!」
ドキドキと鼓動がうるさくなる。
そんな真顔でこんなことを言われるなんて、1ミリも想像してなかった。
「でも隆…私多分、すっごく甘えちゃうよ?
なんでもやれちゃう隆に、本当になんでも頼んじゃうかも…」
「ふはっ!それは困る!」
突然笑顔になってケラケラ笑いながらポトフに味付けをしだした。
「まぁでも…そんな日常も…楽しそうだな…
きっとガキはランに似て……」
ランはその後の言葉を息を飲んで待つ。
なんて言ってくれるんだろう?
私に似て…可愛い?優しい?強い?
すると三ツ谷はボーッと鍋をかき混ぜながら
無機質な声を出した。
「気味の悪ぃユニークな絵を描くピカソみてぇな画家志望かな…で、俺がいくら絵を教えてもきっと」
「えっ!ちょっと待って何それぇ?!」
「バカお前。ピカソは褒め言葉じゃねぇか」
心底楽しそうに笑う三ツ谷にムッとする。
発言がとにかく予想外すぎた。