第24章 revere*
「いなくなんなよ?」
そう言って振り向いた万次郎は
…笑っていた。
なのにその笑顔は、出会ってから今まで
1度も見たことがないくらいに悲しげなものに見えた。
それは今にも、
闇に紛れて消え入りそうで。
三ツ谷は笑えなかった。
パーちんに始まり、場地も、一虎も、いない。
ランも今は東マンとしての活動はできない状況。
「ああ…。約束する。」
三ツ谷は万次郎にそう答え、
今まで走ってきた道と、この先の道の向こうを眺めて目を細めた。
今まで進んできた道も、
これから進んでいく道も、
それがどんな未来に繋がっているのか分からないから
正しいのかすら誰にも分からない。
それでもただ、信じるしかないのだと思っている。
信じて進んでいくしか、
道を通る術がないのだと。
「おし、じゃーこのまま俺ん家直行。
ランが待ってるよきっと。
手術怖い〜ってね。」
くくくっと笑う万次郎に、三ツ谷は目を細める。
大寿の元から帰る途中に、万次郎の連絡でランのことは聞いた。
その前に柚葉のところへ寄ったわけだが、
内心ランのことが気がかりで仕方なかった。
「あいつ…大丈夫なのかな…」
「さすがに、ランまでいなくなったら
東マンは終わりだなっ!」
冗談めかして明るく言うような万次郎。
しかし三ツ谷は、きっとそれは
本心なのだろうと思った。