第24章 revere*
万次郎を後ろに乗せて走りながら、
三ツ谷はザワつく心をなんとか抑えて冷静になろうと努める。
「…何か隠してやがるな、柚葉」
「ん?」
「考えてみれば、黒龍との和平成立…
簡単すぎたし。
なぁ、マイキー?」
「・・・」
「…?マイキー?」
万次郎はどこを見ているかも分からない目で
ボーッと流れていく街を見ていた。
「ちょっと止めろ、三ツ谷」
「ん?どうしたよマイキー?」
バイクを止めると、万次郎はてくてくと
歩いていく。
東京卍會 そう描かれた特攻服の黒い羽織が
夜の暗闇に紛れて、儚く消え入りそうに見えてしまった。
「……半分になっちまったな…」
「…え?」
「創設メンバー」
ポツリと静かに言ったその言葉に
何も言えなくなる。
「俺さ……どこ目指してんのか…
わかんなくなっちった…」
「…マイキー」
「黒龍なんてほっとけよ…」
「・・・」
「三ツ谷……お前はさ……」
その背が、
異様に小さく寂しげに見えた。