第24章 revere*
三ツ谷は柴家の前にバイクを止め、
柚葉と話していた。
「今日、大寿と話し合った」
「…知ってるよ」
柚葉は複雑な面持ちで視線を上げた。
「大寿は金持ちと繋がって、トラブルの時に黒龍の兵隊を貸して、その見返りに大金を貰っていた…
その集金役が…アタシだった。」
すぐ背後で三ツ谷のインパルスに乗って待っている万次郎がたい焼きを食べる音だけが静寂の中に響く。
「今日…アタシはその役から解放された。
あんたのおかげだよ、三ツ谷。」
そう言いながらも、険しい顔をしている。
「……なんだよ、その態度。
せっかく八戒が頑張ったのに」
「頑張った?!あんたがそう仕向けたんでしょ?!」
突然声を荒らげて鋭く睨んでくる柚葉に三ツ谷は一瞬怯む。
しかし柚葉はすぐに、
"姉"の表情になって俯いた。
「八戒…なんでこんなことを……」
「…ばーか。八戒はお前が思ってるより強ぇよ!」
柚葉はくるりと背を向けてしまった。
「ありがと三ツ谷…でもね…
その期待が人を苦しめることも、あるんだよ」
「・・・」
「ランのこと…ごめんなさい」
「……平気だよ。
お前も連絡取り合ってるだろ、柚葉。」
「うん、でも……
もう二度と、会わないようにするね」
「?!…は?」
柚葉は行ってしまった。
「おい…」
「行こう、三ツ谷。」
たい焼きを食べ終えた万次郎が
スっと、インパルスの前の座席を指さした。