第24章 revere*
タケミチも千冬も、今後どうしたらいいか、それについて悩んでいると、八戒が探しにきた。
「俺がお礼言ってたってタカちゃんに伝えてくれるか?」
「え?…う、うん…でもなんで?」
「…うちの家庭複雑でさ、父子家庭な上にガキの頃から親父はほとんど家にいなかった。
だから家庭を仕切ってたのは1番上の大寿だった。
あいつは子供の頃から"王"だった。人より体がデカく単純に強かったってのもあるけど、何より人の心を掴む術に長けていた。
取り巻きの奴らはみんな大寿に惚れていた。
大寿は暴力を使うのがうまかった。
中途半端な暴力は振るわない。やるならトコトン。
それは、俺ら姉弟にもだった…。」
思わぬ話に、タケミチも千冬も生唾を飲み込む。
あの男は子供の頃から悪い意味でやはり凄い奴だったのだと知ってしまった。
「俺は…愛を苦しいものだって思ってた。
そう育てられたから。
それが当たり前だったから。」
八戒はそう言うと、どこか柔らかい表情に崩して上を見上げた。
「タカちゃんは俺の世界をひっくり返した。
衝撃だったよ…
遊びたい盛りに2人のガキの面倒押し付けられて、見るからに辛い家庭環境なのに、ニコニコ笑ってんだぜ?」
腹減ってないかって、俺の心配までして
俺の面倒まで見ようとして…
「タカちゃんが作ってくれたメシ食ったらなんか分かんねぇけどめちゃくちゃ泣けてきてさ…
味噌汁がしょっぺーしょっぺー」
そう言って笑う八戒にタケミチは眉を下げた。