第24章 revere*
しかし、一瞬のそれを、三ツ谷はみごとに避けていた。
「へー…やるな。」
「もう一度言う。
八戒は黒龍に譲る!柚葉は解放しろ!」
「・・・」
「この条件を飲むなら東マンは黒龍に手ぇ出さねぇ」
「断ったら?」
「全面戦争だ。」
即答した三ツ谷によって
張り詰めたような空気が流れた。
しばらくして、大寿がニヤリと笑った。
「いーねぇ。和平成立だ。」
そう言って手を差し伸べ三ツ谷と握手を交わす。
「まー、俺はDVなんてしてねぇけどよぉ…約束してやる。二度と柚葉には手は出さねぇ。」
その言葉を最後に、鋭く睨んでいた三ツ谷は視線を外し出ていった。
「結局…八戒は黒龍に行っちまうって話だな」
「うん…でも1個わかった。きっと八戒は柚葉ちゃんの為に大寿を殺すんだってこと。」
千冬とタケミチが静かに会話する中、八戒は三ツ谷の背を呼び止めた。
「タカちゃんっ……ありがとう」
「…八戒、どんなに苦しくても、
力は守るために使えよ。」
振り向いた三ツ谷の表情は、
幼い頃から八戒の見てきた
優しい"兄貴の三ツ谷"そのものだった。
こんな人が本当の兄貴だったらと、
何度思ったことだろう。
「生まれた環境を憎むな。八戒。」
「……タカちゃん…」
八戒は涙を浮かべて拳を握った。