第23章 rebel
「じゃー俺ら先帰ってるからさ。三ツ谷とゆっくり帰んな」
ドラケンが気を使って万次郎たちと共に出ようとする。
万次郎が促されながらもニッコリ笑って振り向いた。
「三ツ谷、ランを無事うちに返してな?
安静にって言われてんだから激しいことしちゃダメだぞ」
その言葉に一気にランは顔が熱くなり、目と口を大きく開けたまま固まってしまった。
バタンと扉が閉まり、嵐が去ったような静けさが訪れた。
「ラン…」
ポカンとしていた顔のまま三ツ谷の方を向くと、
三ツ谷の瞳は苦しげに揺れていた。
「…抱き締めてもいいか」
ハッとして1つ頷くと、身体を気遣うようにギュッと強く抱き締められた。
ランは涙腺が緩みそうになりながらもそっと抱き締め返す。
「ずっとこうしたかった…」
「…隆……ごめん…心配かけて…」
やっぱり落ち着く…
こうしているのが…
しかし三ツ谷の体は、今まで感じたことの無いほど熱かった。
ドラケンの言っていたように、誰よりも怒りや悲しみを堪えているのだろうと思った。
「さっきドラケンはあんなふうに言ってたけどさ…
実は…1番最初に黒龍に攻め入ろうとしたの…
……俺なんだ…」
「え?!」
「それを…マイキーが必死で止めてきた。
今の黒龍がどんなにやべえ奴らか分かってるはずだったのに…お前見てたら理性ぶっ飛んじまって…」
耳元で儚げに囁かれたその事実は衝撃だった。
目を見開いたまま何も言えなくなる。