第23章 rebel
「応急処置はした…」
その後ろ姿は明らかに場地だった。
緩やかに伸びた長い黒髪…
「え…場地くん…?」
いや!違う!!
ゆっくり振り向いたその顔に目を見開く。
「一虎くん…!」
そうだ…!!
12年経って、出所してるんだ!
「お久しぶりです…」
そう呟いた瞬間、
いきなり殴られ、何発もの蹴りを浴びせられた。
「っ…?!」
「この前こんなふうに、
路上で女をタコ殴りにしてる奴がいた。
止めに入ったら、
殴ってた奴らは東マンのメンバーだった。
…てめぇらの東マンはいつから女を殴る組織になった?」
一虎に睨み下ろされ、
タケミチは息を荒くしながら何も言えなくなる。
「てめぇなんてどうでもよかった。
あいつを…千冬を助けたかった…」
そう言って涙を浮かべた一虎は、
出所した時に迎えに来てくれた千冬を想った。
「あいつはずっと1人で戦ってた。
なのに…てめぇは何やってんだよ?」
「・・・」
そっか…
この世界の俺は…
千冬が頼れないくらいに
腐っちまってたんだな…
「東マンはデカくなっておかしくなっちまった。
それなのにてめぇらは率先して稀咲のコマ遣い。
唯一の頼みだったドラケンは死刑囚。
マイキーはどこにいんのかもわかんねぇ…
なぁタケミチ…東マンは…どこに向かってんだ?」
その言葉は
タケミチのやるせなさを倍増させた。
結局、最悪の未来のままだった。