第21章 rise*
「いつのまに?
よく出来てんなぁ〜」
と三ツ谷が呟き、
「部長に褒められちった☆」へへんっとランが得意げに笑っている。
渡されたものは和布で綺麗に作られている御守りだった。
タケミチが渡した場地のものとは色も柄も違うが、形が同じだ。
「そ…なんすね。わぁ…ありがとうございます!
でもっ…こんな大事なもの…無くさないようにしなきゃなぁ」
「簡単に無くしそーだな、お前。」
「うっ…」
三ツ谷の発言が図星すぎた。
御守りという常に持っておくような小さい類のものは、物を無くしてばかりいるタケミチは昔から苦手で持たない主義だった。
ビクビクしながら大事そうに両手で御守りを見つめているタケミチを一瞥した後、三ツ谷はタケミチに渡してあった特攻服の入った紙袋とその御守りをひったくった。
「しゃーねーからちょっと待ってろ」
そう言ってミシンに向かってまた何か作業を開始する三ツ谷を前に、妙な沈黙が流れる。
そもそもさっきのあの光景…の後のこの展開…
普通おかしいよな?
タケミチは冷や汗を流す。
ぺーやんも妙な面持ちで頭をかいている。
どういう感情を持っていいのかわからない。
カタカタというミシンの音だけが部屋に響き、タケミチが恐る恐るランを見ると、ランまでも何事も無かったかのように机に座ったままニッコリ笑みを浮かべて三ツ谷を眺めている。
なんとなくタケミチは、気まずさよりも悔しさに似た感情が押し寄せてきていた。
なんなんだこの人達…
この余裕っぷりは…!!