第21章 rise*
階段を降りていたタケミチは「あ!」と声を上げた。
そーだ!俺としたことがすっかり忘れてた!
場地くんの御守り、
結局ずっと俺が持ってて…
ランさんに渡さなきゃと思ってたんだ!
「なんだ、どうした?」
ペーやんが目を丸くして顔を覗き込んでくる。
「俺、ランさんに用事あることすっかり忘れてて!ペーやんくんごめん!先に帰っていいっす!」
「ちょ、ちょい待てぃ!!」
「っえ?」
強く腕を掴まれてしまった。
ペーやんはいつもの倍恐ろしい声色で言った。
「今行かねぇ方がいい。」
「え?なんでっすか?
だってまだきっと部室にいますよね?」
「てめぇ…察しが悪ぃな。わかるだろ!
だいたい明日でいーだろ」
「は、はい?わかりませんよ。
とにかくもう何週間もたっちまってるから、明日より今日っすよ!俺、行ってきます!」
「っ!!おい!タケミっち!!
マジで殺されるぞ!!」
タケミチは一目散に階段を駆け上がっていってしまった。
やばい…!!
ぜってーやばい!!
そう思ったペーやんは必死に追いかけていく。
タケミチがついに部室の前に辿り着いてしまった。
「っ!ちょっと待てタケミっ」
ガララッー…!!