第21章 rise*
「ねぇ、もうすぐクリスマスじゃん?
それ、部長へのプレゼントでしょ?」
「えっ?違うよ安田さん!」
「え?そうなの?
だってそれ、マフラーでしょ?」
さすが副部長の安田さん。
確かに今ランが作っているものはマフラーに違いないのだが…
「だって、隆みたいなプロに、こんなド素人なシロモノあげるなんて恥ずかしくてできないよ!ここの縫い方がどうとか編み方がどうとかいろいろ思われたら…」
「えー…部長はそんなこと言わないと思うけどなぁ。
ランちゃんの作ったものならなんでも喜びそうだけど?」
「そ…そうかな…。でも…
これは別の人にあげようかなって」
「えぇ?!なにそれ浮気?!
部長に二股かけてるの?!それなら私が許さないよ!!」
「ちちちがうよ!てかシィ〜!!
安田さん声デカすぎだよ!もうっ!」
その時、トンと肩を叩かれ
振り向くとなんとメジャーを肩にかけている三ツ谷が立っていた。
「なに?ウワキ…って言葉が聞こえたんだけど?」
ランは慌てて作り途中のマフラーを隠す。
「部長!実はランちゃんがっーンブ!!」
今度は慌てて安田さんの口を塞ぐ。
「んー?」
ずぃっと三ツ谷の顔が近づいて目と鼻の先で探るように凝視された。