第21章 rise*
「ありがとう…千冬…」
涙を拭いて、もうこれ以上泣くまいと心に決めた。
場地は、笑顔のままでいろと言った。
だからもう、彼のことで泣くのはやめようと。
「ランさん…お話があります。」
「うん…なぁに?」
千冬が拳を握り、真剣な瞳を宿した。
「東マンを、辞めさせてください」
ランの目が大きく見開かれる。
「俺は、場地さんの代わりにはなれない。
正直俺は、場地さんに全てを捧げてきた身。
副隊長の俺が壱番隊隊長になるのも、俺にとっては意味が無い。こんなことを言って、申し訳ありません!でもこれが俺の本心なんです!」
深く頭を下げる千冬にランは暫し沈黙したあと、頭を上げさせた。
「じゃあ私も本心を言うけど…私は…千冬にはずっと東マンにいてほしいって思ってる。別に圭介の代わりとかじゃなくて、たった1人の松野千冬に。」
にっこり笑うランに、千冬の鼓動が跳ねる。
「だから、もう少し考えよう?
万次郎も交えて。ね?
さ、行こう。七転び八起きでしょ?」
優しく手を引かれて、ブラバの後ろに乗せられた。