第21章 rise*
「東京卍會 壱番隊隊長 場地圭介だ」
そう言ってメガネを外し、髪を下ろした。
今までのガリ勉とはまるで別人に見えた。
そしてたった1人で20人全員を
あっという間に倒した。
「いーかてめぇらぁ
東マンは仲間が1人やられたら全力でそのチームぶっ潰しに行く。覚えとけ!
こいつは俺の仲間だ。
今度手ぇ出したらチーム丸ごとぶっ潰すぞ!!」
その背は、何者にも尊厳を持たず、己第一でイキって生きてきた俺にとって、初めて自分を圧倒した、初めて自分より遥か上の存在に見えた。
「千冬ぅ、ペヤング好き?」
「え?!あ、は、はいっ!」
「うちここの5階だからさ、寄ってけよ」
「マジッすか?!うちここの2階っす!」
「ハハッなんだよ、同じ団地かよ」
「は、はいっ!」
初めて敬語を使ったのもこの人だった。
初めてカッケェと思った人も
初めてついて行こうと思った人も
場地圭介だった。
「あ?!ペヤングあと1個しかねぇじゃん!」
「じゃっじゃあ俺いらないっすよ…」
「半分こな?」
その日に俺は初めて月乃ランとも出会った。