第21章 rise*
「ごめんね…圭介…っ…
私…圭介のこと守るって誓ってたのに…」
全部知ってたのに…
私はなんにも出来なかった。
なんて無力だったんだろう。
せっかくタケミチが話してくれたのに
私は……役立たずだった…
「千冬…ごめんね…」
「っえ…?…いや… ランさんの謝ることではないです。なんにも出来なかったのは俺ですから。」
場地さんは…
俺の腕の中で逝ってしまった。笑顔で…。
「まだ…っ、場地さんの温もりが…
この腕の中に残ってて……
なんかまだ…現実味がないんす…っ…」
涙をこぼす千冬の手をランが握り、
しばらく2人でただ泣いていた。
冬の訪れを感じさせるような冷たい風が
追い打ちをかけるように悲しみと後悔を深めた。
「ねぇ……圭介がよくくれたどら焼き…どこのかな…」
「……さぁ…」
「また…食べたいな……聞いとけばよかった…」
そう言って、ワッと泣き出すランを横目に、千冬は心の中で謝った。
ごめんなさいランさん…。
ホントは俺、知ってます。