第21章 rise*
2週間後…
千冬は場地の墓に来ていた。
線香をあげ、約束通り半分のペヤングを供える。
「初めて会ったときもそうだったっすね…」
"ペヤング好き?"
そう言ってニッと笑う場地の顔が
つい昨日の事のように鮮明に浮かぶ。
「場地さん…っ…
ありがとうなんてズリィよっ…
俺はこれから…どうしたらいいんすか…」
こらえていた涙がまた滴り落ちた。
「千冬…」
後ろから声をかけられ、涙でぐしゃぐしゃの顔のまま振り向くと、ランが立っていた。
「あー、ハハッ…
私もペヤング持ってきちゃったよー
でも…千冬と半分コの方がいっか。」
「・・・」
「ねぇ覚えてる?千冬。
前にさ、3人で…激辛のペヤングで騒いだこと。」
「はい…」
「私が変なアレンジにして、3等分して完食してさ…
こんな辛いのもう二度と無理なんてあの時は思ったけど…でも…すっごく楽しかった。」
「はい…俺もです…」
あの時の懐かしい記憶が
つい昨日の事のように鮮明に頭に浮かんだ。
「また…あれ、3人で食べたかったな…」
そう言ってランは花と線香と、
そして思い出の生どら焼きをあげて
ゆっくりと両手を合わせ目を瞑った。