第5章 refine
バイクに跨るランの腰に手を回す三ツ谷。
思いがけない提案にランは今までにないくらい心臓がバクバクしていた。
まさかこんなふうに今までとは逆の立場になる日が来るとは…
ブォォオーーーーン!!!
ブォン!ブォン!
「うおーっ!マジ早ぇなぁーっ!すげー…」
三ツ谷の声がすごい勢いで風に流されていく。
「音もいいよなぁ!」
「でしょ?!真一郎にちょっと改造してもらったんだ!」
「そっかあ!真一郎くんはバイク屋だもんな!」
万次郎の兄、真一郎はよくそこらの不良たちが集まるバイク屋なのだ。
「にしても!ランバイクすげー似合ってるよ。男よりぜんっぜんカッケェぞ」
「ほんとにー?」
「おう!多分世界一、いや宇宙一かっけぇ女だよランは。」
カッコイイ女…か…。
そっか、
私はそれをずっと目指していたのかもしれないな…
ランは終始後ろで感嘆の声を上げる三ツ谷とのこの状況が嬉しくて猛スピードで海沿いを駆け抜けていた。