第20章 rage
「なんだよ…ずっと笑ってろって言ったろうが…」
"お前はそのまんまでいろよ。
ずっと…そうして笑ってろよ"
"え?!なに?!聞こえない"
"もっと笑えっつってんだよ!!"
"え?!キャハハハハなにそれぇー!
圭介も笑いなよ!八重歯可愛いし!!"
あの夜のバイクの上でした会話が
2人の中でリフレインした。
「お前のブラバの後ろ…すげー気持ちよかったぜ…」
場地は八重歯を出してにっこり笑った。
「また…乗せるよ?…何度でも!」
「……また乗りてぇな…」
「乗ってよ!…お願いぃ…っ」
ランは下唇を強く噛みすぎて、
血が滲み始めていた。
それを見ながら場地は悲しそうに顔を歪めた後、どこか懐かしそうに笑った。
「あぁ…そうだ…あんとき…
キスして…ごめんな…
三ツ谷のこと殴っときながら俺は……」
「え…」
そっか…あのとき隆を突然殴ったのは
やっぱりそういう事だったんだ…
「大好きだ、ラン」
「…っ!」
「ホントはずっと…言いたかったんだ…」
場地の握る手に僅かに力が入った。
その手首のミサンガが切れていて、ランはハッとなってミサンガごと強く握り返した。