第20章 rage
あまりの衝撃に、ランはその場に膝をつき、動けなくなってしまった。
ハァハァと荒く呼吸をし、みるみる息が詰まっていく。
「場地さんっ…なんで……っ…」
「場地くん…なんでだよ…
何のために…自分で自分を刺したりなんかっ」
千冬もタケミチも泣きながら歯を食いしばる。
「タケミチ…もっと…近くに…」
「!!」
息絶え絶えに何かを喋ろうとする場地の元に、タケミチがしゃがみこむ。
「稀咲は…敵だ…」
「!」
「それに気付いたのは…パーが長内を刺した事件…
パーを出所させる代わりに参番隊隊長に任命してくれ…と…稀咲がマイキーにそう持ちかけるのを偶然見ちまった…」
場地が苦しそうに呼吸を繰り返しながらなんとか紡いだその言葉を、タケミチも千冬も涙をこらえながら聞いていた。
「参番隊隊長は…稀咲じゃねぇ!
東マンは俺ら7人で立ち上げた。
どんな理由があっても、参番隊隊長はパーだけなんだ」
「場地さん…っ…」
「パーちん、三ツ谷、ドラケン、一虎、ラン、マイキー……あいつらは……俺の宝だ…」
場地の目からも涙が流れ落ちていく。
だんだん呼吸が浅くなっていた。
「俺一人でなんとかしたかった…
でもまぁ…無理そうだ…
俺は……自分で死んだ…」
「・・・」
「マイキーが一虎を殺す理由はねぇ…」
そう言って次第に目が虚ろになっていく。