第20章 rage
「稀咲!!よくやった!!
マイキーとランを任せた!!」
ドラケンがそう叫び、
稀咲が頷きながらランに手を差し伸べた。
「立てますかランさん」
「うん…」
その手を取ろうとした時…
ガンッ!!!!
「っえ……?」
横から突然、稀咲が棒で殴られ倒れ込んだ。
一瞬のことすぎてランは目を見開いたまま唖然とする。
「汚ねぇ手でランの手握ろうとすんじゃねーよ」
恐る恐る見上げると、
場地が立っていた。
「こいつに手ぇ差し出せんのは、
昔から俺だけなんだよ」
「場地が稀咲をやっつけたぞー!」
と、そこかしこからバルハラの歓声が聞こえてくる。
「稀咲ぃぃー、
面が分かんなくなるまでぶん殴ってやるぜ」
「けい…すけ…?」
フッと振り向いた場地が、ランに手を差し伸べる。
「立てるだろ、ラン。
七転び八起きだ。」
ハッとなって固まる。
その言葉は、幼い頃から幾度となく自分に言ってきた場地の言葉。
そしてその言葉と共にいつも手を差し伸べてきたのも場地だった。
その手を取ろうと
ゆっくりとランが手を伸ばした時…
ズドンッ!
稀咲の右腕の副隊長 濱田が
場地を吹っ飛ばした。
「圭介!!」
「大丈夫っすか?稀咲さん」
「…あぁ……ブンブンブンブン、俺の周りを嗅ぎ回ってるハエだ。叩き殺せ!」
稀咲が立ち上がり、冷徹な眼光を場地に突き刺した。