第20章 rage
「万次郎!!!」
丁次を振り切り、急いでランが駆けつけて行くが、4人がいる頂上付近までには程遠い。
「一虎…てめぇっ!!」
睨みあげるランに、一虎が笑った。
「必死だなぁ、お前も。
でもこれで、俺らバルハラの勝ちだ。
んでラン、お前もバルハラ入り。」
「あ"あ?んなことになるくらいなら族なんてやめてやるよ!」
「ハハッ。何言ってんのお前。
今更フツーの女の子に戻れるわけねぇだろ」
ピクっとランの眉が動いた瞬間、万次郎が起き上がった。
頭から血が滴り落ちている。
「1個だけ…教えてくれ一虎」
「あん?」
「俺は、お前の敵か?」
万次郎の尖った眼光が一虎を睨みあげている。
一虎は無の表情で口を開いた。
「俺は、お前のせいで苦しんだ。
お前のせいで年少にいたんだ。」
「は?何言ってんだてめぇ」
「敵に!決まってんだろーが!
俺は邪魔なものを排除する!!」
「・・・」
「知ってるかマイキー。
人を殺すのは悪者。でも敵を殺すのは…
英雄だ!!」
バッと再度2人に押さえつけられた万次郎を、一虎は笑みを浮かべて見下ろす。
「しっかり押さえとけよ?」
ガンッ!!
ゴンッ!!
一虎が殴る度に血が飛び散る。
「マイキーの負けだな」
という言葉がそこかしこから聞こえた。
「やめろ一虎ぁあ!!」
ランは叫びながらそこへ行こうとするが、廃車の山が多すぎる上に、丁次との戦闘で足腰が怠く、てっぺんに居る一虎たちになかなか追いつけない。