第19章 redress
「会えてよかった、圭介。」
「・・・」
数秒間真顔で見つめ合った後、ランはゆっくりとバイクに跨った。
「早く行けよ」
「圭介はバイクで来てないの?」
「ああ。」
「じゃあ乗っていく?」
「あ?」
「ほら、圭介にはまだ乗せれてなかったじゃん。」
そう言ってニッと笑うランに、場地は初めて自分に見せた幼い頃のランの笑顔を重ねた。
つい、何も言わずに後ろに跨ってしまった。
「じゃー行くよ!しっかり掴まって!」
ブォンブォン
ビューーーーン
「うっー!!速っっ!!
おまっ!飛ばしすぎだろ!」
「えぇ?これ普通だよ?!」
「マジかよ……さすがはホンダのブラバだな」
ケラケラ笑っているランの背中を見ていると、つい頬が緩んでしまった。
「お前はそのまんまでいろよ。
ずっと…そうして笑ってろよ」
「え?!なに?!聞こえない」
「もっと笑えっつってんだよ!!」
「え?!キャハハハハなにそれぇー!
圭介も笑いなよ!八重歯可愛いし!!」
「っ!てめぇバカにしてんだろ?!」
「してないよーっ!その八重歯昔っから大好きだもんー!あはははは」
顔を顰めていた場地も、思わず釣られて笑ってしまった。
場地の家に到着し、場地はバイクから降りると、ポンと1度ランの頭の上に手を置いてから
「明後日、俺には近寄んなよ」
それだけ真剣な表情で言って
家に入っていってしまった。