第19章 redress
「信じるよ」
いつの間にか、ランは真剣な目をしていた。
「えぇっ…全部信じてくれるんですか?!」
「うん。だって、そんな事細かいウソ、普通思いつかないでしょ。こんなこと私に話したって何の得もないしさ…それに稀咲のことだって、怪しいってずっと思ってたもん」
「っ!…さすが… ランさんですね…」
ランは顎に手を当てて少し沈思したあと、立ち上がった。
「とにかく明後日…
圭介を絶対死なせないように私が頑張るよ」
「ランさん…」
「タケミチ、今までたった一人で頑張ってくれてたんだね…凄いよ。ありがとう。」
その言葉に、タケミチはついに涙を浮かべてしまった。
「東マンのために、たくさん命張ってくれたタケミチは、立派な東マンメンバーだよ。
一人一人がみんなのために命を張れる。そんなチームにしたいって圭介が言って創ったチームが東マンなの」
そう言って上を見上げ、煌々と輝く月を見つめた。
「私ね…過去に戻りたいってよく考えることがある。
やり直したいこととか、後悔してることとか…
いろいろあるの…
それは、"今"を知っているから、"過去"にああすればとかこう言えばとか…いっぱい思うことがあるの…
でも普通は過去には戻れないでしょ?
だから"今"の一瞬一瞬を大事に生きなきゃって…
この瞬間は二度と訪れないから…
今やるべきことを、全力でやっていきたい。」
月光に照らされているランの横顔が、この世のものとは思えないくらい儚げに見えて、タケミチは息を飲んだ。