第19章 redress
「兄貴なら…どうするんだろ…」
そう言って万次郎は悲しげに真一郎の形見のバブを撫でた。
キーにはランがあげたクマのぬいぐるみが揺れている。
「さぁ?そいつと語ってこいよ。
気が済むまでさ。」
ドラケンが静かにそう言うと、万次郎はバブに跨り、凄いスピードで走って行った。
少し、1人にさせてあげたいと思った。
「私、真一郎兄のお墓行ってくる。」
「こんな夜遅くにか?俺もついてこうか?」
「ううん、大丈夫。
私もちょっと、1人になりたいの…」
蚊の鳴くような声に、ドラケンは短く息を吐いた。
「こんな暗いし、気ぃつけろよ」
「うん、ありがとう堅。
一虎んとこにもついてきてくれてありがとう…」
「どこにだってついてくよ」
優しげに笑ったドラケンに、少しだけ表情を緩めた後、ブラバに跨って颯爽と夜道を抜けていった。