第18章 rapport
「おおっ?東マンの月乃じゃねぇか?お前。」
「えっ?!」
振り向くと、特攻服を着た明らかに族の連中がニヤついていた。
ランは私服でも、すっかりトレードマークになっている赤いスカーフと、そもそも有名人ということもあり顔は知られているようだった。
しかし、それは情報通のランとて同じ。
「アンタたちは…」
ランは険しい顔をして1歩前へ出る。
三ツ谷も気が付いたようで急いでルナマナを背後に隠した。
男たちの特攻服の胸元に書かれている
ICBMの文字を見て確信する。
「池袋クリミナルブラックメンバーズ…」
「ははっ、さすがは東マンの姫。」
「阪泉…」
確かこいつは、31日の抗争の仕切りをする予定の男…
ランは舌打ちした。
そっか、ここは池袋…。
いくら私服でも、ゲーセンなんかに来ちゃマズかったなぁ…
なんかめんどくさいことごちゃごちゃ言われそう。
「ハロウィン決戦、東マンは気合い入ってるかぁあ?」
「……。」
「くだらねぇ喧嘩だったら俺が潰すぞぉ」
阪泉の不気味な笑みに、ランはなるべく好戦的な視線を向けないように目を逸らした。
「当日はよろしくお願いします阪泉くん。
行こう、ラン。」
三ツ谷がランの腕を引き、ルナマナの背を押した。