第18章 rapport
「ランちゃん。この子たちだけじゃなくて、隆のことも、いつもありがとうね」
「えっ!そっそんな!私は何も…
ていうか私のほうこそいつも隆くんに支えられているので!」
「そんなことないと思うわよ。あの子、最近雰囲気変わったもの。言葉じゃ言い表せないんだけどね。母親だから分かるわ。」
その言葉に、なんとなく羨ましさと虚しさが込み上げる。
隆は…お母さんがいていいな…
「生活が入れ違いだからあまりあの子のことに構ってあげられないんだけどね…。だからいろいろ心配もあるけど… ランちゃんがいてくれてよかったわ。」
「あ…えっと、その……
隆くんは凄いんです!強いし仲間想いで面倒見も良くて…いつもすごく周りのこと見てて頭が良くてっ…それで、えっと、裁縫もほんっと凄いし、家族のこととても大事にしているし…私すごくすごく尊敬してるんです!」
つい夢中になって三ツ谷のことを喋ってしまった。
三ツ谷の母親は、驚いたように目を丸くしている。
「っあ…えと」
「ふふふふふっ。あの子は幸せ者ね。
ランちゃんみたいな子にそんなふうに想われていて。」
「っ…いえ…幸せなのは私のほうなので…」
途端に顔を赤らめて視線を落とすランに、三ツ谷の母は目を細めた。
「ランちゃん…。あまり無理しないでね?」
「…え?」
「ランちゃん…隆と同じ目をしてる」
そう言って三ツ谷の母親は顔を近づけて来た。
「昔から、誰かに甘えたことがない目よ」
ランはハッと目を見開く。
切なさと罪悪感を孕んだような彼女のその瞳は、かつての自分の母親を思い起こさせた。