第17章 resolute
「いっ…ぁ、ありがとうございます…
… ランさん」
「やっぱりちゃんと病院行くべきだね…
はぁ…こんなになるまでやるなんて…」
「場地さんを…責めないでください…」
「………。」
千冬は場地に絶対的な信頼と崇拝的なまでの尊敬を抱いている。
ここまでされても無抵抗で受け入れたのだろう。
「タケミチは怪我とかない?大丈夫?」
「あっ!はい!」
その様子をずっと見つめていたタケミチは、急いで返事をした。
「そっか…とりあえず無事で良かったよ。
タケミチはあそこで何をされてたの?」
タケミチは一通りのことを話した。
「…証人喚問…か。それから圭介がそんなことまで喋って…。確かに私たちはあの事件がきっかけで…どこかに見えない溝が生まれたようには感じてた。でも…一虎も圭介も、私にとっては今でも仲間なんだよね…。おかしいかな。」
自嘲気味に笑うランに、タケミチは何も言えなくなってしまった。
「さぁ千冬、病院送るよ。タケミチも肩貸して。」
「あ、はいっ!」
「いいです、平気です。ランさんの治療で充分ですよ。場地さんああ見えて、歯や鼻が折れないようにとか、気を使ってくれたんだと思います。」
ニッと白い歯を見せる千冬は、強がっているようには見えなかった。
しかし、大好きな場地が自分を殴ってまでバルハラに行ってしまったという心中を察すると、心の傷までも見えるようでとても痛々しかった。