第17章 resolute
道中、一虎の背を見つめながら不安な面持ちが隠せないタケミチ。
一虎は顔かたちも表情も声色も喋り方も、柔らかくて滑らかなのに、どこか得体の知れない不気味さと威圧感を孕んでいる感じがした。
「あの…羽宮くん、」
「ん?一虎でいーよ」
「一虎くん…一虎くんて、うちの3年なんすよね?」
「うん」
「あの…一虎くんみたいな有名人がうちの中学にいたら、もっと騒がれてると思うんすけど…」
「あー、俺、1年の一学期しか学校行ってねーから」
「へ??」
「俺、少年院にいたんだ。」
「え?!少年院って…捕まってたんですか?!」
「……アイツのせいでね。」
ボソッと言った言葉は、
確かに耳に届いてしまった。
アイツ…?
誰のことだろう…
「ほら、もうすぐそこ。」
指さす方向を見つめながら緊張で手が震えてきた。
とにかく場地くんを連れ戻さないと!
「え?ここっすか?ゲーセン?」
そこは錆びれたゲーセンだった。
「うん。もうとっくに潰れてっけど。」
そこには首のない天使の絵が描かれている。
首のない天使…
確かバルハラの異名…
気付かれないように深呼吸し、
意を決して立ち入り禁止のロープを跨いだ。