第16章 rational
「あいつが前に俺のこと殴ったのって、どうせあれだろ。俺がお前にキスしてたからだろ」
「え……そ…なのかな…。」
「なのにあいつときたら…次会ったら俺も殴っていいんかな」
「っ…ご、ごめんね、たか」
乱暴に唇を塞がれた。
荒っぽく舌が侵入してきて口内を犯される。
イチゴの甘酸っぱさが広がっていき、
味わうように舌を絡ませあった。
「んん…っ…は…」
「お前もう、隙見せんなよ」
頭に手を置かれ、目と鼻の先で見つめてくる三ツ谷の濡れた唇を、月明かりが照らしている。
ギラ、と光るその獲物を捕らえるような瞳が色香を放っていて鼓動がドキドキとうるさくなった。
「ごめん…気を付け…ます…」
「ん。」
瞬時に表情を変え、満足気に笑って優しくポンポンと頭を撫でてくれる三ツ谷が心の底から愛おしく思って頬を赤らめた。
「ちょっとは機嫌治った?」
「あ、うん…ごめん、ありがとう。」
「じゃあ次は俺の機嫌治せよな。
言っとくけど、今ので治ったと思ったら大間違いだよ」
バイクに乗りながらどこか艶っぽく笑う三ツ谷にドキリとなる。
「まさかそんな表情まであいつに見せてねぇよな?」
「え…」
「ま、いーや。俺しか知らねぇお前がもっとあるし」
その言葉に顔が熱くなる。
平気な顔してそんなこと言わないでほしいと思った。